病気や怪我で病院にかかるとき、私たちは当たり前のように健康保険証を提示し、三割負担で治療を受けます。しかし、AGA治療において保険証はただの身分証明書に過ぎません。なぜなら、薄毛治療は厚生労働省によって「容姿の美化」を目的とする自由診療とみなされているからです。薄毛であっても身体機能に支障はなく、命に関わることもないため、公的な医療保険の対象外となり、費用は全額自己負担となります。これが、AGA治療費が高額になる根本的な理由です。風邪薬なら数百円で済むものが、同じ成分の薬でも数千円かかるのはこのためです。 さらに、確定申告の際に気になる「医療費控除」についても、AGA治療は原則として対象外と考えた方が良いでしょう。医療費控除は、治療を目的とした医療行為に対して適用されるものであり、美容目的の施術や予防薬は認められないのが一般的です。ただし、例外として、薄毛の原因がAGAではなく、甲状腺機能障害や膠原病などの全身疾患によるものであったり、円形脱毛症のように保険適用が認められている疾患であったりする場合は、その治療費は控除の対象となり得ます。また、医師の診断書があり、治療が必要不可欠であると認められれば可能性はゼロではありませんが、通常のAGA治療で税務署の認定を受けるのは極めてハードルが高いのが現実です。治療を始める際は、税金の還付などは期待せず、純粋な出費として家計に組み込む覚悟が必要です。安易に「後で戻ってくる」と考えて高額なローンを組むことは避けるべきでしょう。