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若年性薄毛は治るのか
私が高校生の時、友人のA君は急に髪が薄くなり始めたことに深く悩んでいました。彼の母親も心配し、二人で色々な情報を集めていましたが、高校生という年齢で薄毛になること自体が珍しく、どう対処して良いか分からずにいました。A君の薄毛の原因は、はっきりとは分かりませんでしたが、当時の彼は受験を控えており、かなりのストレスを抱えていたようでした。また、食事もインスタント食品が多く、睡眠時間も削って勉強に励むという生活を送っていました。最初は「まあ、ストレスだろう」と周りも思っていましたが、次第に彼の髪の薄さは目に見えて進行していきました。ある日、A君の母親が皮膚科を受診させることを決意しました。専門の医師は、彼の生活習慣を詳しく聞き取り、頭皮の状態を診察した上で、「若年性の薄毛で、ストレスと生活習慣の乱れが主な原因だろう」と診断しました。医師は、彼の年齢からするとまだ毛母細胞の機能が完全に失われているわけではないため、改善の可能性は十分にあると説明しました。具体的な治療として、まずストレス軽減のためのアドバイスと、バランスの取れた食事、十分な睡眠の確保が徹底されました。A君は、医師の指導に従い、食生活を見直し、夜はきちんと寝るように心がけました。また、頭皮の血行を促すマッサージ方法も教わり、毎日のシャンプー時に実践するようになりました。そして、症状が軽度であったため、最初は内服薬などは使わず、市販の育毛剤の使用もせず、生活習慣の改善と頭皮ケアに専念することになりました。数ヶ月後、A君に変化が現れ始めました。まず、抜け毛の量が減り、以前のように髪を洗うたびに大量の毛が抜けることがなくなったのです。そして、半年が経つ頃には、頭頂部の地肌の透け感が明らかに目立たなくなっていました。髪の毛一本一本にハリとコシが戻り、全体的にふんわりとしたボリュームが戻ってきたのです。クラスメイトからも「最近、髪の毛増えたんじゃない?」と言われるようになり、彼は以前のような明るさを取り戻しました。A君の薄毛が「治った」と言えるかは、厳密には難しいかもしれませんが、少なくとも日常生活に支障がないレベルまで改善し、悩みが解消されたのは確かです。彼の事例は、若年性の薄毛は、遺伝や病気が原因でない限り、生活習慣の改善と適切なケアによって回復する可能性が十分にあることを示しています。